医療関係者としてワクチンの接種会を2回行ないました(72名に対して)。政府・マスコミは「自治体に任せている」・「自治体に!」といっていますが、実は「自治体」といっても医療関係者の枠は「都道府県」で、高齢者と一般市民向けは「市区町村」という縦割り管理にしたため、高齢者接種会場でワクチン未接種の一部医療関係者がその実施にあたるという不安な状況が作られています(医療従事者から接種しに来た人に感染する恐れという意味です)。予防接種にいったらコロナうつされたという危惧があると言うことです。感染対策はしていますが…。
ワクチンの副反応は公表されている通りで、特に、それ以上それ以下でもありませんでした。アナフィラキシーは起こりませんでした。
ファイザー社製(モデルナ社製も同様)はmRNA(メッセンジャーRNAと読みます。どこかの番組でエムRNAと読んでいたアナウンサーがいましたがすごく変です)ワクチンです。mRNAはタンパク質の設計図にあたるため、この設計図が身体そして細胞内に入り、細胞内でその設計図通りのタンパク質を作ります。今回のmRNAはコロナウイルスのトゲトゲ(写真で良くみるウイルスのトゲトゲのところです)の部分を作る設計図です。作られたトゲトゲは身体にとって異物なので免疫反応で抗体が作られて感染が防御されます(さらにはインターフェロンの誘導も起こるとされています)。ただ、mRNAは非常に不安定な物質なのでそのまま注射してもすぐ分解されてしまいますのでなんとかして細胞内にまでたどり着かせないといけません。そのため、mRNAを包む物質としてポリエチレングリコール(PEG)という物質を使います。PEGに包まれたmRNAは安定性がある程度担保されます(温度・振動には弱いけど)。それで細胞内に取り込ませています。このPEGという名前は仰々しいですが、市販の化粧品には結構の頻度で利用されていて身近なものです。これがアナフィラキシーの原因になっているのではないかといわれています。特殊な物質では無いのですが。ただ、接種会場ではアナフィラキシーの対策は十分されているので複数医療関係者がいれば対応は安心できるものになっています。
インド株のデータはまだはっきりしていませんが、それまでの変異株を含めて、mRNAワクチンの効果はほぼ95%感染しないし95%感染させない、さらに95%重症化しないですので、当院含め近隣の医療施設(ほかのクリニック数軒・調剤薬局数軒・歯科クリニック数軒含む)は接種済みですので医師が感染して更に患者さんにうつしてしまう可能性は5%の5%になりますので0.25%となります。ほとんど安心なレベルになりました。つまり、ワクチン接種済みの医療施設で医療従事者からのコロナ感染(発症する前の2日間、知らず知らずに患者さんにうつす可能性という意味)の可能性は非常に低くなっています。
最終的な決断は本人にお任せするしかありませんが、私は基本的にコロナのmRNAワクチンは推奨する気持ちでいます。とにかくmRNAワクチンは画期的なものです!