妊娠はするのに流産を繰り返してしまう病気を総称してこの様にいわれます。子宮筋腫や子宮奇形のように受け入れる子宮に問題があり妊娠が継続できないものやご両親のどちらかに染色体異常があるため胎児が成長できずにくりかえし流産するものもあります。この様な理由とは別に免疫学的な理由での不育症が近年(あえていうとマスコミが取り上げたのが近年)問題視されています。私の日本医科大学や私が部長をしていた横浜赤十字病院では20年以上前からそれに取り組み治療し無事出産されている方が多数いらっしゃいます。
免疫学的な不育症は母体が胎児に対して拒絶反応を起こすことによってひき起こされています。臓器移植を考えてみればわかるのですが、他の方から移植臓器をもらって身体に移植されるとやはり異物(移植臓器)を排除しようと免疫機構が働き出します。また、膠原病(自己免疫疾患)という言葉もお聞きになった事があるかと思いますが、この病気は自分自身をある意味異物(排除すべきもの)として免疫が働いて自分自身に対して拒絶反応が働いています。この両者の中間的状態が妊娠です。つまり、移植臓器ほど自分とは異ならず、でも、自分自身でもないもの(胎児以外にも絨毛や胎盤を含む)が子宮内腔にへばりついている状態が妊娠です。もし自分自身に対して免疫が働き拒絶反応を起こす方は、当然、胎児に対してはさらに強く拒絶反応を起こしてしまいます。その反応がおこると拒絶を受けた移植臓器がだめになるのと同じ原理で胎児もだめになってしまうのです。これが免疫機構の働いたことによる不育症の大きな原因です。
具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?今回、紙面が足りなくなったので次回つづきを書きます。(なお、不育症の検査は健康保険が適応される項目も多数あるので高額ではありません。)なお、来月まで待っていられない方は早速、医療施設に相談しましょう。
2019.10.04