このたび、当院も公費の子宮頸癌ワクチン接種に協力することにしました。
当初、サーバリックスを接種する医療機関が多数接種に協力することに名乗りを上げていたので在庫不足(実際にそうなった)に陥るのが目に見えていたのと、今回8月26日に発売になったガーダシルという新しい予防接種がでることがその時点でわかっていたので、手を挙げませんでした。在庫に関しては新型インフルエンザの予防接種の時もできる限りの努力をし注射を集め接種していました。今回もサーバリックスを集めることはできたので在庫の問題は何とかなるとしても当初参加しなかった一番の理由は新しいワクチンが出るのが知っていてサーバリックスを接種するのに抵抗を感じたからです。当院の考えとして予防接種はできる限り性能がいいものを選択すべしと思っています。たとえばインフルエンザや日本脳炎の予防接種などもチメロサール(有機水銀の防腐剤)の入っていないものだけを使用しています。
同様にサーバリックスは2価ワクチンでHPVの16型と18型を防ぎますが、新しく発売されたガーダシルは4価ワクチンでHPVの16型・18型に加えて6型と11型を4種類のHPVを防げます。6型と11型のHPVは尖圭コンジローム(外陰部に疣のできる病気)の原因になります。まれに尖圭コンジロームをもったまま分娩すると新生児に感染し、赤ちゃんの喉の声帯付近に疣ができて呼吸困難などを起こすことのある「再発性呼吸器乳頭腫症」を発症します。ガーダシルならそれも防ぐことができる可能性が高くなるので、このガーダシルの発売を待っていました。というのも性交渉がある女性の場合は一刻も早く頚癌を予防しなければならないのでサーバリックスは非常に意義があります。しかし、公費対象である年齢層の女性は性交渉がまだ無い方が多くそれが前提なら2価より4価でさらに防げるよほうが良いと考えました。私の娘に対してもガーダシルを接種するためにサーバリックスを接種せずに待ってました。私は家族にするのと同様に患者様にも対応するのが当然と考えているので、今回、当院の公費接種希望者をお待たせしてしまった次第です。
この号が発行される頃にはガーダシルも横浜市の公費対象になっているはずなので、それで実施できると思います。ワクチンは画期的で効果的です。ご検討ください。
2019.10.04