グループC:サイトメガロウイルス感染症
サイトメガロウイルス感染症に関しては妊娠の初期の段階で検査する施設は非常に少ないです。サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科のウイルスでどこにでもいます。ほとんどの人がいつかは感染することになるのですが、初感染が妊娠中だと非常に問題になります。たいてい感染しても症状がありませんが稀に重症化して伝染性単核球症様の症状が出て内科などで確定診断される事があります(免疫不全状態の方は非常に悪化することが多いです)。妊娠中に初めて感染すると流産や胎内死亡、胎児に小頭症や水頭症、出生時に無症状でも難聴や知的障害、運動障害、眼の異常などを遅れて起こすこともあります。特効薬のようなものはなく完全な予防法(予防接種が市販レベルでは存在してない)もありません。感染経路は尿・唾液・鼻汁・精液・母乳・涙・血液等、身体から分泌される全てのものに感染能力があります。ですので同じ食べ物をかじりながらシェアしたり同じストローで吸ったりキス(ご主人も含め)したり・・・などで感染してしまいます。
妊娠中の初感染ですが母体にサイトメガロウイルスの抗体(妊娠前にかかったことがあるという意味)があれば胎児に影響することはありません。でも今から30年くらい前まではこの抗体を持っている妊婦は95%でしたが、今は70%ほどです。そのため、この30%の方が問題になります。抗体検査は3000円前後の採血検査で出来ますが他の検査を実施する時に重なることが多く合算で結構高額になるので検査に抵抗を感じる方も多いのが事実です。当院では特にリスクの高そうな方(小児科の看護師さんや保育園の先生とか)には検査の存在を話していますが、全員にお話しするかは未だ検討中です。以前から問題になっている有名な感染症なのですが、最近TVで取り上げられて非常に気にされる方が増えています。出生後に新生児の尿から胎内で感染していたかどうかの検査もできますが、それも実施している施設は少数です。
気になる方は検診中のクリニックで相談してみてください。