グループC:りんご病
りんご病は伝染性紅斑症とかパルボウイルスB19感染症とも呼ばれます。名前の通りパルボウイルスB19の感染によって起こります。感染は飛沫空気感染で広がります。ひどい風邪症状がでることもありますが小児は風邪症状とともに主に頬が赤くなるのでりんご病と呼ばれています。大人の女性の場合は寒い日に下肢にレース状の血管紋理(もんり)がでる事がありますがそれと同様の紋理が感染時に若干浮腫みながら出現する事があります。余程しっかり注意していないと通常の風邪と区別がつかないことが多いです。概算では年齢と同じ数字の頻度で抗体保有者がいます(既に感染していて改めての感染は起こらない方:一度かかると一生かかりません)。ざっくりいうと25歳なら25%が35歳なら35%の方が抗体を持っています。別の考え方で言えば年に1%ずつ初感染を起こしているともいえます。
この初感染の時に妊娠20週以前の胎児を身篭っていると胎児に感染して影響がでます。今のところ胎児奇型を起こす報告はありませんが胎児の赤芽球に感染してそれを破壊してしまいます。私たちの血液には酸素を送る赤血球があります。赤血球は骨髄で作られていますが骨髄で作られたらまず赤芽球という形で出されて、その後、それが赤血球になり身体を循環します。つまり、赤血球の元を破壊してしまうので胎児はお母さんのお腹の中で極度の貧血になり、ひどい場合だと心不全を起こして死亡します。予防接種やこれを治す薬などはありませんので抗体がない方は要注意です。前回のサイトメガロウイルスと同様にブライダルチェックや妊娠初期の検査にこの項目を入れるかどうか検討中です。ただ、子供やその患者様と接する環境下にいる方にはこの検査をお勧めしています。
名前は「りんご病」と、なんともかわいい名前ですが、とんでもない病気なのです。
2019.10.04