グループF:腟細菌叢からGBS(B群溶血連鎖球菌)出現
妊娠中期から、後期にかけて2回細菌培養検査をする施設が多いと思います。その理由としては腟の中にGBSが存在していないかどうかを検査するためです。GBSはもともとほとんどの方の鼻の中や耳の中、腸内になどに存在します。しかし、腟内に存在する方は2割程度(多いとも少ないともいえない微妙な頻度です)です。そのGBSがいるまま、何もせず分娩すると400分の1程度の頻度(文献的に200~600分の1とばらつく)で新生児GBS感染症を発症します。発症した新生児は脳脊髄膜炎や敗血症、治療が追いつかない肺炎などを起こして死亡するかもしくは重篤な神経学的な後遺症を残します。そのため、もしGBSが存在したら分娩時(陣痛で入院中から)にペニシリン系の抗生剤を母体へ点滴して出産前にお腹に居ながらにして抗生剤をしっかり投与された状態の新生児として生まれさせるとGBSは付着はすれども感染は成立しないという形になります(場合によっては抗生剤の感受性検査をGBSに対して行うこともあります)。それで発症は防止できたり症状の軽減が出来ます(帝王切開は不要です)。ただ、よく勘違いされた治療として妊娠中期の検査でGBSが見つかって腟に座薬を処方されたり、抗生剤の内服薬を処方される例がありますがGBSはペニシリンなどの抗生剤で完全死滅するというより非常に抑制された状態になるだけ!という実験結果が出ていますので、前もって抑えること自体無意味です。(詳しくは以下のとおりです。寒天培地にGBSを増殖させた後、その培地にペニシリンを振りかけると培地からBGSのコロニーが消失します。しかし一旦消失させたその同一培地にペニシリンを分解するペニシリナーゼという酵素をかけると、、、あら不思議!また、GBSのコロニーが出現します。つまり、ペニシリンで抑制されていただけなのです。)
そのほかにも色々な感染症がありますが、気になる場合は産婦人科の医師に聞いてみましょう。きっと、次のマスコミターゲットはりんご病だと思います・・・また、TVで言われて大騒ぎになるのかな?と思ってます。