平成25年12月27日付けで日本産科婦人科学会から見解が出ていたので今回はこれについて以下にその概略を書きます。低用量ピルの副作用である静脈血栓症による死亡例が報道されたのを受けての見解だそうです。
低用量ピルはご存知のとおり避妊の目的だけではなく月経困難症や子宮内膜症なのに対しても有効な治療薬です。しかし服用している女性において静脈血栓症による死亡例が出たため、その実態については厚生労働省研究班で調査中とのことです。静脈血栓症発症の頻度は低用量ピルを服用していない女性で年間10000人に1~5人に対し服用していると3~9人です。妊娠中は5~20人、産後12週間までだと40~65人です。よって、分娩後などと比較しても頻度は低いです。静脈血栓症を発症して致命的な結果となるのは100人に1人で低用量ピルの死亡率は10万人に1人となります。低用量ピルを服用している最中にACHES(腹痛・胸痛・頭痛・視野異常/舌のもつれなど・下肢の強い痛みなど)があれば医療施設に受診するようにして下さい。低用量ピルは女性のQOL向上に極めて有効ですが、一旦静脈血栓症を発症した場合、重篤化することもあるので必要に応じて受診するようにして下さい。・・・とのことです。
私の見解としては、ただ確率で説明されても納得できない部分もあります。妊娠中や産後はある意味女性にとっては一大事な時でいろんな意味で覚悟を決めている状況と思います(例えば妊娠してない時お腹を切る話は納得できなくても帝王切開の時は納得する方が圧倒的に多い)。一方低用量ピルを服用している時は平時であってあくまでも「QOLの向上の目的」での服用している状況なので一概にその頻度計算だけで納得できるのかな?と思います。どのように防げるのか、どのように管理するとさらに安全なのか、そういう方向性が出ないと気がかります。「必要」な方のみが服用するというのが、どの薬にもいえることで、処方した以上は当院では当然管理下におくことにしています。でも低用量ピルは非常に良い薬ですので・・・。
2019.10.04