若い頃、親から色々いわれてうっとうしい気持ちになったことを今でも時々思い出します。よく考えてみるととても細かいことをいうなあと感じていたことも実は将来をみすえて指導的意味をもって言っていることも多く、後で振り返ると言われていてよかったと感じることも多々あります。でも、それを言われた瞬間は結構、イラッとしたことも事実です。
37年間も産婦人科医をしていると色んな症例を経験しきて、結果、とても悲しい結果になった方も少なからず診てきました。そのためか、結構、小うるさくなってしまっている自分に気づきます。過去にあった例として、妊娠24週くらいの妊婦さんから夜10時過ぎに私の携帯に連絡があり「結構お腹が張るけどどうしたらいいですか?出血もないし、胎動もあるし」とおっしゃっていました。さらによくおはなしをきくとすでに2,3日前から結構頻回に子宮収縮が起こっているにもかかわらず、仕事にはきっちり行っていてさらに電話をした日には送別会(自分のではない)にもしっかり全出席して自宅に帰ってからちょっと心配になって電話をしてきている状況でした。幸いにも電話内容からはたいしたこともなく安静にする指示で大丈夫と診断できたのですが、ここで、小うるさくなってしまう私は「なぜ、2,3日前からお腹が張るのに仕事にはしっかり行ってしまったりおまけに送別会に出席してから電話をしてくるのか?」と「お小言」を言ってしまいます。いわなくたっていいのかもしれません。でも、今までたくさん診てきた妊婦さんで、このあと破水し超極小未熟児を分娩し、NICUに入らざるを得なくなった新生児を心配な気持ちでみていく親たちの姿を思い出してしまい決してそのような事にはならないように「変なときはとりあえず電話して!」「悪い状態を引っ張るだけ引っ張って桁違いに悪化させるのだけはどうしても防いでほしい」という気持ちから、言わなくてもいい「お小言」を言ってしまいます。この「お小言」を理解される方がほとんどですが、なかには全然わかってもらえない方もいるかと思います。そういうときは「親の心子知らず」と同じ状況なのかな?と思ってしまいます。
そろそろ、ちょっと親の様子でも見にいってみようかなと感じる今日この頃です。
2019.10.04