子宮頚部細胞診、いわゆる子宮癌検診ですが、当院も今年4月からLBCに完全に移行しました。以前からも症例ごとにLBCを実施していましたが、すべての検査においてLBCに移行しました。
LBCとはliquid based cytologyの頭文字です。日本語に直訳すると液状化検体細胞診という意味になります。横浜市癌検診でも、サイトピックもしくは綿棒等で子宮頚部の細胞を擦過して採取して検査に出していたのですが、今年4月からはLBCを推奨されました。以前の採取法ですと採取した標本はスライドグラスに直接塗抹するため、必ず綺麗に散布・塗布しないと細胞が重なり合ってしまい、わかりにくくなります。また血液成分が混じると赤血球のせいで細胞診が行ないにくくなります。一方、LBCは採取を専用のブラシを使って子宮頚部・腟部を全面擦過しますので、もれなく全体から細胞がとれます。そしてそのブラシを専用の液体容器内で、はたくことにより細胞が液体容器内に浮遊します。その結果、赤血球は除外でき、細胞診のスライドグラス上には一層(かさならず)で塗布できます。そのため、エラーが極端に減少します。おまけの効果としてはその検体材料はHPVの検査も行えるので、もしも異常な細胞診結果でも、再度の検体採取は不要となります(内診台に2回乗る必要が無い)。良いことづくめです。ただ、一点問題があるとすると表面をブラシで、はたくので雑な歯磨きのあと歯茎から血が出るみたいな感じで1,2時間少量ですが鮮血が垂れることがあるだけです(必ず止まります)。
もし、お受けになった頸部細胞診がLBCなのかどうかは確認された方が良いかと思います。特に、人間ドックではどのレベルなのか気になるところです。子宮頚癌検診の精度という意味においてレベルで表すと、「自己採取法」<<<<<<「内診で綿棒・サイトピックにて細胞採取法」<<「LBC法」という感じです(LBC法が最良という意味です)。人間ドックはあくまでも人間ドックですので、この細胞診の精度差の存在があることを理解されておく方が良いかと感じています。
2019.10.04