「あっ!失敗!」ということありますよね。勢いにかられて何の処置もせず開始して「賢者タイム」になった瞬間「まずい!」となったり用意周到に準備したにもかかわらず「とれちゃったり」「破れちゃったり」することがあります。そんなとき、病院に行って緊急避妊ピル飲めばいいや(飲んでもらえばいいや)と考える方もいらっしゃるでしょう。当院でも今は1回1錠を服用するタイプに変えました。富士製薬のレボノルゲストレル錠です。薬剤代金だけをお示しすると8000円(消費税別)としています。
もちろん、ミレーナは99.8%避妊、低用量ピルは99%避妊できるのと比較して緊急避妊ピルは75~95%の避妊効果です。日頃から準備しているものとは比較になりません。ですので服用したにもかかわらず妊娠してしまったときのことも考えておかないといけません。
今ネットで緊急避妊ピルをレイプされた女性視点から述べ「医療施設にかからずに緊急避妊ピルを市販化すべし」と書いてあるものを見つけました。何か正しい気もしますがちょっと不思議です。被害者が通常一番気にされるのは「傷ついていないか?」「腟内に相手のものが残ってないか?(気持ち悪くて除去希望)」「性病などがうつされていないか?」そして最後にやっと「妊娠してないか?」です。場合によっては腟内精子からDNA鑑定して犯人を特定しうる重要な証拠となるので婦警さん立ち会いの下、採取することもあります。妊娠の可能性を避けるための「緊急避妊ピルの市販」は百歩譲って有りですがレイプされた女性の立場からすれば医療施設に受診されてないと他の項目は闇に伏すことになります。つまり、実体験のから出た話ではないように感じました。
また夫婦間・カップル間での避妊の失敗であると「赤ちゃんできちゃったら、それなら産む!」(緊急避妊ピルを飲まないという選択)という方も多数いらっしゃるので、緊急避妊ピルは胎児奇形(特に半陰陽)を起こす可能性もあるだけに、十分相談させていただかないと処方そのものが難しいかと思います。
もし市販薬となっても副作用項目が結構あるので薬剤師がいないと販売不可になりそうですし、一般買い物客のいる薬局で避妊薬の説明を受ける方が、ずっとプライバシーをたもてないのではないかと思います。よって、未だ「緊急避妊ピルの市販」には山あり谷ありかと思うのですが…。ちなみに緊急避妊ピルの一般人によるネット通販は違法です。
HPリニューアルしました!アドレスは一緒です。
2019.11.21