医院名:医療法人真理恵会 田中彰クリニック 
住所:〒224-0003 神奈川県横浜市都筑区 中川中央1-37-9 TNKビル2F 
電話番号:045-914-6560

コラム

この10年ほど、地域誌に毎月載せていたコラムです。内容的に少し古い記事もあります。

2019.10.04

2013年6月 風疹の現状

風疹は35歳以上の男性は国策で予防接種を実施していませんでした。さらに女性の中に予防接種をしているにもかかわらず抗体価が低い方がいて、ご主人から胎児に感染してしまった例が出たためこのような事態になっています。もし男性も予防医接種するように以前からしてあれば問題なかったのです。また風疹抗体価はHIという半定量で検査をします。8倍未満は抗体が全くなく、8倍、16倍は抗体があるが弱いので感染(母親の症状がなく胎児への感染という意味です)の恐れがあり、32倍以上は感染の恐れが無い状態をさします。半定量ですので、8倍とは8倍から16倍未満までであり、16倍は16倍から32倍未満をさしますので、以前32倍だった方が再検査して16倍になっていると基本的には32倍に近い16倍のことが多いです。現在この検査もガチョウの卵を使うのですがそれが足りないくらい検査希望が集中しています。
 大人の風疹予防接種の公費補助は急にマスコミ発表されたので医療関係者は当日午後FAXで知らされました。しかし、4種混合(ヒブワクチンの入った)を実施している施設のみという指定をされたため、ほとんど婦人科はその対象者にならなかったです。役所の事務処理の手間の問題らしいのですが・・・。以前の子宮頚癌の予防接種の際は婦人科は声を荒げなかったですが、今回の風疹に対してはさすがに生ワクチンであるため誤接種を防ぐために婦人科でないと危険だと役所に申し立てていましたが、当初受理されず、結局、ほかの科で接種が始まりました。やはり不幸にも妊娠中であるのにもかかわらず、ほかの科で風疹の予防接種を受けて当院へ相談にこられた方がいらっしゃいました。ちょうどその頃、厚生労働省から「妊娠中に接種してしまっても大丈夫」と報告を出してきましたが誤接種例が出てあわてて発表した感が否めません。実際、接種して異常になった例の報告は無いのですが、説明が後手後手なのでいかがなものかと感じています。不安なときは相談してください。
現在、当院では看護師募集中です。希望の方いらっしゃいましたら、クリニックまで!

2019.10.04

2013年5月 更年期障害???

40歳代から月経が定期的に来なくなり、さらに体調の変化があると更年期障害と診断する医療施設を見受けます。これには一寸異を唱えたいです。更年期障害はあくまでも閉経後に女性ホルモンの欠落から身体・精神症状を呈するものを指します。つまり、月経があるのに更年期障害と似た症状のイライラや発汗、動悸、肩こり、身の置き所のない感じなどはそれに相当しません。ホルモン補充療法のル・エストロジェルやエストラーナ貼布剤やプレマリンのようなものでの治療は意味がありません。それよりも排卵障害や発汗の症状であれば甲状腺機能異常なども調べないといけないのです。月経があるのにこのような症状を呈するものは月経前症候群(PMS)の方も多く、漢方薬や低用量ピルなどが著効する事が多いです。
このため、逆説的に不思議なことが起こります。たとえば、ここで取り違える医療施設だと・・・月経があるが月経周期が不順でイライラいや発汗などがあると診断名は更年期障害。さらにまたここで取り違えて更年期障害には低用量ピルが効く(実際に閉経直後だと効果はあるのですが、乳癌リスクとして女性ホルモンの投与に相当してしまいます)と判断しそれを投与して改善させた。だから「あなたは更年期障害だからピルを飲みなさい」で2回勘違いしているのにもかかわらず結果オーライで効果がでてしまう事があります(本当は月経前症候群(更年期障害ではなく)にピルで治療をしているだけ)。
以前も書きましたが、卵胞ホルモンの低下とFSH上昇、甲状腺ホルモンの正常値があってはじめて更年期障害になりますのでそれ以外は月経前症候群などとして管理すべきものです。この2つは大筋よく似ているのですが、ギリギリのところ全く違う部分があり、治療が真逆になるので注意を要します。

2019.10.04

2013年4月 子宮癌検診は火災保険とかと同じ感じ

よく子宮癌検診結果で異常無かった結果を説明したあと「子宮癌検診は今度何時来ればいいのでしょうか?」と聞かれます。私は癌検診というのを損害保険と同じ様な感じだと思っています。生命保険は必ず加入していれば、いつかは1回発動します(必ずいつかは死んじゃうので)。しかし、火災保険や自動車の任意保険は火事や事故さえ起こらなければ、一度も発動せず完全な掛け捨て状態になります。子宮癌検診なども一生懸命行っていても結局一度もその病気にならずに死んでしまうかもしれません。逆に火事や事故が起こってからあわてて保険に入りたくても入れません。同様に子宮癌が手遅れになるまでになってから、過去にもどって初期の癌に戻してほしいといわれても無理です。保険にはいると安心が確保することに重きがあって、ほとんどの方は、実際にそれを使うことを想定していません。同様に「癌検診が異常無」の結果は安心を手に入れるためだと思いましょう。
また「どのくらいに頻度で?」とも聞かれますが、私は1年に1回くらいと説明しています。スゴく変な例えになりますが、癌検診をした翌日の細胞分裂で癌細胞できたとしましょう。そうすると1年後の検査まで癌になったことはわかりません。しかし、365日後に検査すると癌細胞は見つかります。でも、いわゆる「癌」ではありません。癌は何がいやかというと、「死んじゃう」「転移する」「再発する」「浸潤する」というのが問題であって検査後1年しかたって無いとそのどれにもあてはまらず、必ず完治するレベルで子宮癌は見つかります(横浜市の補助券は2年に1回であるのは市の財政難せいで1年に1回を2年に1回にしただけですので誤解のないようにしてほしいです)。
それと体癌検査は頻度が低いので、必要無いとおっしゃる先生もいますが、火災保険(子宮癌検診)の中の地震保険(体癌検査)のようなもので医者が決めるのではなく、きちんと説明した上で受診者の判断にゆだねるべきと考えています(体癌は少ないといってしまうと正常な方の中の子宮癌の頻度はそれよりももっと低いので、子宮癌検診そのものを否定していることになります)。

2019.10.04

2013年3月 婦人科検診のゴールデンタイム

不正性器出血や腹痛や痒みなどの症状がある場合、クリニックに受診するタイミングはその症状があるときがオンタイムです。でも、癌検診やそのほか一寸気になるので診察を受けたいときはいつがいいのでしょうか?検診として代表的なものをいくつかあげて説明します。
子宮頚癌検査は月経の真最中だと血液ばかりになるのでその日は避けたほうがいいです。月経の終わりかけなら問題は無いです。子宮体癌検査は子宮の内膜検査になるので妊娠していない条件が必要になるので妊娠する可能性のある状況下の方は月経の終わりかけがいいです。また排卵日以降になると内膜が肥厚してくるので内膜増殖症と診断してしまうクリニックがあったりするようです(必要がないのに低用量ピルを処方されてしまっていたりしています)。もし内膜が厚い時期であれば月経後に再度超音波検査で内膜の厚さを診れば肥厚していないのがわかります。卵巣も月経の終わりかけがいいです。その理由は排卵日頃になると卵胞(排卵の準備)ができます。しかし、少し排卵障害がある方は排卵日以降に超音波検査をうけるとその卵胞が存続卵胞という状態になって大きく嚢胞性に腫れてみえる事があります。これをみて「卵巣腫瘍だ!」といわれてしまっている方もいます。不妊症の検査は当院では月経終わりかけに集約することが多いのですが、まずはお話もするので初診自体はいつのタイミングでも良いと考えています。妊娠の初診は妊娠反応検査で陽性ならできるだけ速やかに受診してください。妊娠検査の陽性結果は子宮外妊娠などの異常妊娠も含まれているからです。
ここしばらく、ほかのクリニックで内膜増殖症とか卵巣腫瘍とか多嚢胞性卵巣は体癌になりやすいとか言われ不安になり当院に転院される方が頻出していたのでそれぞれの受診時期のゴールデンタイムを述べました。当院ではもしゴールデンタイムでなくてもその説明をしつつ検査をしますが、やはり、良い時期というのがありますので理解しましょう。

2019.10.04

2013年2月 産後の母乳外来

私の妻が出産後、乳汁鬱滞(うったい)となって、乳房がしこってしまって困っていたとき、やり方など方法論としては詳しく知っているものの乳房マッサージをいざ私自身でしてみると非常にへたくそでした。妻からは当然「もう、いいです」といわれる始末(それからは二度としてません)。これらの知識は相当持っていると自負している私でも実際のマッサージは難しい限りです。当然、素人のご主人たちは途方に暮れるに違いありません。奥様が産後に乳房が張って辛そうにしているのにもかかわらずそれをどうかしてあげるのは難しいです。
当院ではそのような悩みの方に対して乳汁鬱滞が悪化して乳腺炎になってしまった方は私が診察しますが、それ以外は助産師による乳房マッサージを実施しています。助産師はさすがにプロで話の内容も授乳のことだけにとどまらずマタニティーブルーも含めマッサージの最中に対応しています。まさに「匠」の領域ですね。当院の母乳外来は以前から通院されている方以外には表立って実施していることをお伝えしていませんでしたが、先ごろ、やはり、みんなに伝えて欲しいという要望が多数あり今回ここに載せました。
産後の乳房の悩みはとかくほかの育児全体の悩みとも連動しているためマッサージのみならずそれと同時に育児相談をかねて診てもらえるほうが絶対によいです。もし悩まれている方がいらっしゃったら当院などのような母乳外来に行ってみるのがよいかと思います。なお当院の母乳外来は完全予約制で実施しています(助産師は通常、当院で勤務しているのでその時間帯は特別な存在の母乳外来をできないためです)。

2019.10.04

2013年1月 妊娠中の気になる感染症7(最終回)

グループF:腟細菌叢からGBS(B群溶血連鎖球菌)出現
妊娠中期から、後期にかけて2回細菌培養検査をする施設が多いと思います。その理由としては腟の中にGBSが存在していないかどうかを検査するためです。GBSはもともとほとんどの方の鼻の中や耳の中、腸内になどに存在します。しかし、腟内に存在する方は2割程度(多いとも少ないともいえない微妙な頻度です)です。そのGBSがいるまま、何もせず分娩すると400分の1程度の頻度(文献的に200~600分の1とばらつく)で新生児GBS感染症を発症します。発症した新生児は脳脊髄膜炎や敗血症、治療が追いつかない肺炎などを起こして死亡するかもしくは重篤な神経学的な後遺症を残します。そのため、もしGBSが存在したら分娩時(陣痛で入院中から)にペニシリン系の抗生剤を母体へ点滴して出産前にお腹に居ながらにして抗生剤をしっかり投与された状態の新生児として生まれさせるとGBSは付着はすれども感染は成立しないという形になります(場合によっては抗生剤の感受性検査をGBSに対して行うこともあります)。それで発症は防止できたり症状の軽減が出来ます(帝王切開は不要です)。ただ、よく勘違いされた治療として妊娠中期の検査でGBSが見つかって腟に座薬を処方されたり、抗生剤の内服薬を処方される例がありますがGBSはペニシリンなどの抗生剤で完全死滅するというより非常に抑制された状態になるだけ!という実験結果が出ていますので、前もって抑えること自体無意味です。(詳しくは以下のとおりです。寒天培地にGBSを増殖させた後、その培地にペニシリンを振りかけると培地からBGSのコロニーが消失します。しかし一旦消失させたその同一培地にペニシリンを分解するペニシリナーゼという酵素をかけると、、、あら不思議!また、GBSのコロニーが出現します。つまり、ペニシリンで抑制されていただけなのです。)

そのほかにも色々な感染症がありますが、気になる場合は産婦人科の医師に聞いてみましょう。きっと、次のマスコミターゲットはりんご病だと思います・・・また、TVで言われて大騒ぎになるのかな?と思ってます。

2019.10.04

2012年12月 妊娠中の気になる感染症6

グループD:麻疹(はしか)・水痘(水疱瘡)
日本で生活している方は基本的に予防接種を済ませている方が多く妊娠中に初感染になる方はほとんどみられません。また、妊娠中に感染しても風疹ように胎児への重篤な影響はあまり起こしません。もし予防接種をしていなければ妊娠中の初感染は避けた方が良いので注意するのはよいことですが、サイトメガロウイルスやりんご病ほど神経質になることはありません。

グループE:外陰ヘルペス感染症・尖圭コンジローマ(HPV感染症)
ヘルペスは外陰に出来ますと、経腟分娩では出産時に胎児がその外陰部に触れながら出産するので、その時、感染します。妊娠以前にも既往歴で外陰ヘルペスになった事がある場合は必ず産科の医師にそのことを話さないといけません。外陰ヘルペスはその潰瘍が治って3週間以内(初感染3週間、再発で2週間以内)での経腟分娩は新生児ヘルペスの発症の可能性が非常に高くなります。新生児ヘルペスは重篤で死亡するか後遺症を残すことがほとんどで安全策のため帝王切開を選択することになります。
尖圭コンジロームは外陰部にイボのようなものができるものですが、このHPV感染症は型が違うものだと子宮頸癌を起こすウイルスです。このコンジロームがある外陰部を通って産まれると稀に新生児にRRP(再発性呼吸器乳頭腫症)を発症します。そうなると新生児・乳幼児期に子供の気管にイボが再発性で出来て、ひどいと気道を閉塞して窒息させるので1年間に数回気道のイボ切除を行わないとイケなくなる事があります。ですので出來れば尖圭コンジロームがあるのなら治療してからお産される方がよいです(帝王切開を選択するほどの頻度ではないのですが・・・)。

グループG:C型肝炎(順番変更で)
出生時に母体から感染することが多いです。ただ防ぐ方法がないので妊娠中に血液検査をしていますが、敢えて言うと妊娠中にC型肝炎が母体で発症しないか?という点と分娩などの時、ほかの患者様に院内感染起こさないか?という点で検査が必要なだけです。現時点においてはB型肝炎のような出生児への感染を防ぐ手立てはC型肝炎にはありません。

詳しくは産婦人科医師までご相談ください。

2019.10.04

2012年11月 妊娠中の気になる感染症5

グループC:りんご病
りんご病は伝染性紅斑症とかパルボウイルスB19感染症とも呼ばれます。名前の通りパルボウイルスB19の感染によって起こります。感染は飛沫空気感染で広がります。ひどい風邪症状がでることもありますが小児は風邪症状とともに主に頬が赤くなるのでりんご病と呼ばれています。大人の女性の場合は寒い日に下肢にレース状の血管紋理(もんり)がでる事がありますがそれと同様の紋理が感染時に若干浮腫みながら出現する事があります。余程しっかり注意していないと通常の風邪と区別がつかないことが多いです。概算では年齢と同じ数字の頻度で抗体保有者がいます(既に感染していて改めての感染は起こらない方:一度かかると一生かかりません)。ざっくりいうと25歳なら25%が35歳なら35%の方が抗体を持っています。別の考え方で言えば年に1%ずつ初感染を起こしているともいえます。
この初感染の時に妊娠20週以前の胎児を身篭っていると胎児に感染して影響がでます。今のところ胎児奇型を起こす報告はありませんが胎児の赤芽球に感染してそれを破壊してしまいます。私たちの血液には酸素を送る赤血球があります。赤血球は骨髄で作られていますが骨髄で作られたらまず赤芽球という形で出されて、その後、それが赤血球になり身体を循環します。つまり、赤血球の元を破壊してしまうので胎児はお母さんのお腹の中で極度の貧血になり、ひどい場合だと心不全を起こして死亡します。予防接種やこれを治す薬などはありませんので抗体がない方は要注意です。前回のサイトメガロウイルスと同様にブライダルチェックや妊娠初期の検査にこの項目を入れるかどうか検討中です。ただ、子供やその患者様と接する環境下にいる方にはこの検査をお勧めしています。
名前は「りんご病」と、なんともかわいい名前ですが、とんでもない病気なのです。

2019.10.04

2012年10月 妊娠中の気になる感染症4

グループC:サイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルス感染症に関しては妊娠の初期の段階で検査する施設は非常に少ないです。サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科のウイルスでどこにでもいます。ほとんどの人がいつかは感染することになるのですが、初感染が妊娠中だと非常に問題になります。たいてい感染しても症状がありませんが稀に重症化して伝染性単核球症様の症状が出て内科などで確定診断される事があります(免疫不全状態の方は非常に悪化することが多いです)。妊娠中に初めて感染すると流産や胎内死亡、胎児に小頭症や水頭症、出生時に無症状でも難聴や知的障害、運動障害、眼の異常などを遅れて起こすこともあります。特効薬のようなものはなく完全な予防法(予防接種が市販レベルでは存在してない)もありません。感染経路は尿・唾液・鼻汁・精液・母乳・涙・血液等、身体から分泌される全てのものに感染能力があります。ですので同じ食べ物をかじりながらシェアしたり同じストローで吸ったりキス(ご主人も含め)したり・・・などで感染してしまいます。
妊娠中の初感染ですが母体にサイトメガロウイルスの抗体(妊娠前にかかったことがあるという意味)があれば胎児に影響することはありません。でも今から30年くらい前まではこの抗体を持っている妊婦は95%でしたが、今は70%ほどです。そのため、この30%の方が問題になります。抗体検査は3000円前後の採血検査で出来ますが他の検査を実施する時に重なることが多く合算で結構高額になるので検査に抵抗を感じる方も多いのが事実です。当院では特にリスクの高そうな方(小児科の看護師さんや保育園の先生とか)には検査の存在を話していますが、全員にお話しするかは未だ検討中です。以前から問題になっている有名な感染症なのですが、最近TVで取り上げられて非常に気にされる方が増えています。出生後に新生児の尿から胎内で感染していたかどうかの検査もできますが、それも実施している施設は少数です。
気になる方は検診中のクリニックで相談してみてください。

2019.10.04

2012年9月 妊娠中の気になる感染症3

グループB:トキソプラズマ感染症
ネコや豚から感染する寄生虫です。数か月前、NHKで取り上げられて気にされる方が増えています。以前から注意を要する疾患だったのですが必要以上に気にされる方が多苦なってしまいました。生肉などでも感染するのですが、ちゃんと火を通した形のレアステーキであれば感染はありません。それよりもネコを飼っている方のほうが注意を要します。ネコからの感染は「ネコの糞便を吸引する」ことによって起こります。「ネコの糞なんか吸引しないよ!」という方も多いと思いますが・・・ネコは排便後、お尻を拭きません。したがって肛門周囲の体毛に糞が付着していることはよくあります。それを自宅内で飼っているとソファや絨毯や布団などにそのままの形で座ってしまい、知らず知らずに擦りつけられています。その後、乾燥するとホコリのように浮遊してそれを吸引してしまうのです。アレルギー性鼻炎の時、あんなにハウスダストやダニなどを気にしているのに、なぜかネコの事は気にしない方もいますが、トキソプラズマの方がずっといやです。トキソプラズマは吸引した後、人間の肺の中で孵化して肺胞を食い破って血管に入り、血流に乗って眼に行って、眼底などの血管をまた食い破って、脳室内をウロウロします。そこから先は人間の体内では生きていられなくなって死んでしまいます。その死骸が胞子の粒のようになって脊髄液の排出口を塞いでしまったりします。大人はそのような事があっても排出口も広いため、症状は全体的に起こりにくいですが、胎児・新生児は網膜を損傷して先天的な視力障害や脳室に水がたまって先天的な水頭症になる事があります。もちろん流産もあります。そのため妊娠初期に血液検査で検査する施設が多く、もしも感染したばかりであれば薬飲む事で症状は抑えられますのでその点は安心してください。
ペット大好きな人には申し訳ないのですが、家の中で犬やネコを飼っているのは、ある意味大きな犬小屋や猫小屋に自分が生活しているのと相対的には同じことであることを理解しておいた方がよいと思います。しっかりした認識が有れば怖いことはありませんが、注意は必要です。

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