医院名:医療法人真理恵会 田中彰クリニック 
住所:〒224-0003 神奈川県横浜市都筑区 中川中央1-37-9 TNKビル2F 
電話番号:045-914-6560

コラム

この10年ほど、地域誌に毎月載せていたコラムです。内容的に少し古い記事もあります。

2019.10.04

2015年6月 スマホにしました

今までいわゆるガラ携だったのですが、スマホにしました。
当院においでになられた方は私が電子カルテを使っているのはご存じだと思います。
そのため、デスクトップ型のPCを使っているのだから、当然、ネット環境があって
インターネット上の情報も電子カルテのPCでできると思っていらっしゃるかもしれません。しかし、当院の電子カルテはBML(電子カルテ・検査の会社:検査データのやりとりのため)と支払基金(国民健康保険や社会保険の保険の請求用:数年後はすべての医療施設が電子データで行うことに先駆けて当院は繋いだ)のみとつながっていて、ヤフーやグーグルなどの楽しい板にはつながりません。当然メールも見られないのです。
急に分娩などの紹介先の病院の電話番号とかを知りたくなったとき、当院の職員が
スマホに向かってしゃべって音声入力して検索したり、格好良くフリック入力しているのを見てちょっとうらやましくて患者さんの前でやってみたくてスマホにしました。
結局は104に電話して調べてかけちゃって、スマホは全然意味ないんですけどね・・・。

昨日から国民年金機構がメールを開けてPCがウイルスに感染して個人情報が一杯漏れちゃったニュースをしています。本体サーバとつながっている端末をそもそもネットにつないでメールが見れちゃうシステムなんて、今時の子供でも危険なことに気づくのですが,びっくりです。だから「消えた年金・漏れる年金」なんて書かれちゃうんですね。
当院はそういう意味ではネットのセキュリティーには最善の努力をしています(当たり前のことですが)。

2019.10.04

2015年5月 風疹検査・予防接種に公費補助

平成27年4月1日から横浜市に住民票のある方に限って、「妊娠を望んでいる方」、「妊娠の希望されている女性のパートナー」、「妊婦のパートナー」のいずれかに当てはまる方の風疹抗体検査が無料で実施できます。さらに、MR(麻疹・風疹混合)ワクチンが自己負担金3300円で接種できます。
風疹抗体価(HI)の8倍未満は抗体が無い状態です。また、8倍と16倍は不十分なので追加の予防接種をしたほうがよいです。また、1回予防接種をしてもなかなか抗体が確保できない方もいらっしゃいますので「妊娠を希望されている女性」や「妊娠中の方のパートナーの方」もこれを機に一緒に調べておかれた方が得策です。横浜市内の指定医療機関で受けられますので便利です。
この補助は4月1日だったため、3月中旬においでになった方で、当院で自費の検査をされた方も多数いらっしゃいます(横浜市から「4月1日から!」の実施連絡が無かったので)。
それと・・・「公費で補助が出る」と言うことは「本当に必要だから!」です。
もし、気になりましたら、ご相談下さい。

2019.10.04

2015年4月 月経周期によって変動するもの

代表的なものに子宮内膜の厚さと卵巣の状態があります。ともに排卵周期に伴って変化します。子宮内膜の厚さは月経により剥がれ落ちた後なので超音波検査で5mm未満であったりします。しかし、排卵日頃になると10mm位の厚さになります。これは不妊症の外来においでになるとわかるのですが、その厚さが必要なのです。そして排卵日から1週間後の着床する頃には15mmくらいあると幸せです。そして妊娠すればさらに厚くなりますが、月経直前にピークを迎え20mm前後までを限度に妊娠してなければ月経になってしまい剥がれ落ちます。
卵巣は卵胞(液体がたまった部分で将来そこに卵子が存在するようになる)というのができてきます。月経中にはほとんど卵巣内に卵胞を小さすぎて認めることができません。しかし、だんだん大きくなって排卵日の頃には20mm位になります。これも同様に不妊症の外来ではその大きさが必要なのです。排卵すると、その卵胞はつぶれて消失しますが、排卵障害があって存続卵胞という状態になると20mmよりずっと大きくなることもあります。でも、これは排卵障害の結果だけなのです。
一方、子宮体癌や子宮内膜増殖症は内膜の厚みが20mmを超えてしまいます。では先ほどの月経周期による変化とどのように比較すればいいのでしょうか?子宮体癌や内膜増殖症は月経周期に伴って良くなったり悪くなったりしないのが普通で内膜の厚さは若干の変化のみです。ですので月経直後にも厚いなら異常であると診断できます。卵巣腫瘍と存続卵胞との鑑別診断も月経周期にあわせてチェックすれば簡単に行えます(卵巣腫瘍は小さくならないので)。
1回超音波をみただけで子宮内膜増殖症とか卵巣腫瘍とか、即、診断しようとするのは超音波を「見ている」だけで「診ている」事にはなりません。

2019.10.04

2015年3月 ミレーナについて

平成26年6月号に避妊用の子宮内装着タイプのミレーナについて説明しました。再度、概略を述べますとミレーナはIUS(intrauterine systemの頭文字です)というリングの軸部分に黄体ホルモンを7年前後持続放出するペレットが仕込まれているものです。
低用量ピルは血栓症の死亡リスクがあるため投与中は血液検査を含め管理が面倒な上、お金もかかりリスクについての不安感も常に拭い去れません。一方、ミレーナは血栓症のリスクも無いため血液検査はほぼ不要に近く、1年に1回おいでになり位置確認だけですみます。
低用量ピルは避妊の効果以外に月経量の減弱から来る月経困難症などに効果があり、健康保険適応であれば1ヶ月あたり処方料と再診料で約2500円前後かかります(1年あたり薬代金のみで3万円弱かかる)。ミレーナは自費でしたが平成26年9月2日から月経困難症や過多月経で健康保険適応となり挿入の日が再診であれば8690円ほどで済みます。ただ挿入すると5年間再挿入不要ですので5年に1回8690円(1年あたり1800円前後)になります。
さらに先に述べたように低用量ピルは血栓症の管理を含めた血液検査を要するため血液検査代金がクリニックによっては薬代金に追加して1万円から数万円とることがあります。ミレーナはそれがありません。
平成26年10月1日から当院で100名前後の方にミレーナを装着して、2ヶ月目に一度だけ来ていただいているのです(それ以降は1年に1回でいい)が、2ヶ月後の時点でほとんどの方が非常に満足いくとおっしゃっています。
月経困難症や過多月経で基本的に死ぬことはありません。でもそれを楽にするためほんの少しとはいえ「命を張って」薬を飲むのはどうなんだろう?と考える次第です。ミレーナはその点「命を張った」薬では無い上に費用も面倒さ(低用量ピルは飲み忘れないように毎日薬を飲むのとミレーナは5年間放置)も超楽チンなのとでは比較するまでも無いと思っています。
医師によってはいろんな意見もあるでしょうから低用量ピルを薦めるのもあえて否定はしませんが、私個人の意見としては以上のように考えています。

2019.10.04

2015年2月 排卵障害に起因する不妊症について

不妊症の治療に際しての排卵についてはどのように扱うかは、どの方法での妊娠を計画してるかによって大幅に異なることがあります。体外受精を軸に考えている場合、極論すれば採卵できる時だけ排卵できれば(卵胞形成がありさえすれば)よいし、受精卵を戻すときだけ子宮内膜の状態をその時からその後のみを維持できればよいことになります。
一方、当院のように体外受精を実施しないレベルでの妊娠を計画する際は、できるだけ薬剤などの手を加えずに、毎月欠かさず排卵してくれ様にしていくのが理想です。当院に来院される方で月経周期が不順で排卵が遅れたり欠落したりする方の大多数が潜在性高プロラクチン血症が多く、それに甲状腺疾患が合併している場合が少なからずあります。
そのため、当院にて最初管理していたとき月経周期をきちんとすることが主眼となり治療していたのが、その後、体外受精の施設に転院して治療方法が変更になって不安になる方がいらっしゃいますが、基本的な妊娠という目標への侵入路が異なるだけなので心配はありません。
月経不順をきちんと精査して管理するだけで結構の方が妊娠されていますが、方法もいろいろですので、ご相談ください。

2019.10.04

2015年1月 時間外の対応

大学病院時代や日赤病院時代と同様に当院は原則365日24時間患者様への対応が可能なようにしています。特に日赤病院時代にはすごく遠方からの患者様からの問い合わせや救急診療要請がありました。妊娠中の方が多かったですが妊婦様でなくても結構診察をしていました。一番多かったのは妊娠初期に出血して心配での連絡です。かかりつけの患者様よりも、かかっていない方からの連絡が多かったです。まず一番多いのが「かかりつけだったクリニックが音信不通」(ひどいところだと昼間の休憩時間帯ですら電話にも出ません。)というものです。でも酷なようですが、その医療施設を選択した自分を恨むしかないのです。次に多いのは「流産したら来てね」というコメントを言われたというものでした。このコメントはある意味正しいのですが、つらいですね、こういわれると・・。妊娠の初期は実際のところ一部の症例を除いて「流産するもの」はしてしまいます。「流産しないもの」は投薬などしなくてもほとんど流産をしません。ですので「正しい」のです。でも、絶対に不安で怖いですよね、頼れる先生がいない感じがするので・・。以前も現在も私はいつも回りくどい言い方かもしれませんが「今出血したばかりであれば、精神衛生上(気持の上では)すぐ来院して超音波検査などの診察をうけるのがいいのですが、肉体的には出血し始めはまずは安静にして時間を置いてから来院されるほうが安全です。すぐ来院されて胎児が元気であると安心できても出血開始直後の移動の結果、帰宅後、さらに新鮮な出血が増量してしまうということがありえますので。でも、それ以降、出血が増量したり強い腹痛を伴う場合は夜中や明け方であっても連絡を下さいね。」と話します。先ほどの「流産したら来てね」は患者様と対峙しあう表現で、私のは寄り添う形をとっていると思っています。医学的に根本的には同じことなのですが、気持の上では真逆だと思っています。

2019.10.04

2014年12月 出生前診断

現在、実際に行われている出生前診断は羊水中染色体検査(羊水穿刺)とクアトラマーカーとNIPTの3つをあげられます。染色体の検査を実際に行っていくことについては色々な考えがあるかとは思いますが、概略について述べます。
羊水穿刺を行って胎児染色体検査をしますが、結果はInSight法、G-Banding法の2種で前者で1週間弱後者で3週間前後で結果が出ます。クアトラマーカーは母体の採血検査で4つの物質を調べて統計処理で結果を出しますが、非常にモヤっとしていてスッキリしません。結果の表し方は「ダウン症の確率」が「1000分の1です」とか「2000分の1です」とか「20分の1です」とかダウン症なのかどうなのかがはっきりしません。ただ前者の検査で、流産の恐れがゼロではありませんが、後者はその可能性はありません。
NIPT(non-invasive prenatal genetic testing)は母体の採血のみで検査ができて(95%~)99%の精度で結果が出ます。ただ、わかるのは21番と18番と13番のみです。
NIPTは妊娠10週から検査可能ですが、予約をとるのが至難の技です。ある施設は自分で予約が取れて紹介状を医師からもらうだけで良い順当な方法のところもありますが、とあるところはかかりつけの医師がFAXしてその後、日程を勝手に指定されてしまうもの(ご夫婦に都合は後回し)や、もっと変ったところでは月曜日の9時から医師からの電話を受けつけて今週分の予約を取る(大抵つながったときは予約取れない)コンサートチケットとりみたいなのまであります。本来、NIPTは研究扱いで学会でコンセンサスを決めたはずなのですが、予約のとりかたがバラバラで非常に変な状態です。
この度、NIPTが昭和大学附属横浜市北部病院でも検査できるようになり、利便性はアップしましたが、予約を取りそこなうと絶対に取れなくなりますので注意です。当院ではNIPT以外の検査をしていますが、必ず妊娠の初診時に年齢要因がありそうな方にはこれらの「検査の存在」だけは話しています(間に合わなくなるので)。

2019.10.04

2014年10月 閉経前の月経状態

私事ですが、先日、2回目の車検を受け、購入してから6年目に突入しました。本当に国産車は壊れにくいです。我が家の車は「絶好調」です。
その時ふと思ったのですが、まだ閉経していない40代の月経不順について、よく「もう閉経になるんですよね?」と聞かれます。閉経は車で言ったらエンジンの耐用年数が来てもう動かなくなっている状態です。つまりエンジンのパワーが全く出ない状態になったことは卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まったことに相当します。ですのでエンジンのパワーチェック(血液中卵胞ホルモンの測定)で診断できます。
では40代の月経不順はどうなのでしょうか?車の車検で例えると、エンジンOK,ハンドルOK,アクセルOK,ブレーキOK,バッテリーOK,ギアOK・・・などなど、全て個々に調べると全く問題無い方がほとんどです。つまり、いろいろなホルモン数値などを調べても全部正常値の方が多いのです。では、何がダメなのでしょうか?それは、加齢に伴って、操作方法を間違えるから動かないのです。普通、エンジンかけてから車を動かしだすのに、エンジンだけかけるのを忘れてほかの操作をしても車は動かない。つまり月経が来ない。逆にギアはニュートラルにしていないといけないのにローに入れたままエンジンかけてしまって急発進する。つまり、月経が止まらない。こんなことが起こっていると解釈できます。ですので、もちろん車検(血液検査)は、必要であれば実施しますが、それが正常だった場合、自動車教習所のような操作方法の指導(漢方薬・低用量ピル・ミレーナなど)をして、不都合な月経を調整は可能です。
クリニックを車検工場・自動車教習所と思っていただき、どんどん利用してください。皆さんもたぶん「絶好調」だと思いますので・・・。(人を車に例えてごめんなさい。でも、車大好き世代なので車に愛をこめて書きました)

2019.10.04

2014年9月 はらおび

妊娠5ヶ月頃の戌の日に着帯の儀式をする事があります。また腹帯は巻いた方がいいのですか?ときかれる事があります。これは日本の風習のひとつで欧米人は巻いていません。それを受けて今は少なくなりましたが、いわゆる「欧米カブレ」の産科医が欧米では巻いてないので巻かなくていいといっていた事があります。
実は腹帯にはいくつかの効用があります。まず一つは保温、そして軽度の衝撃に対しての防御です。でも一番の効用は巨大化した腹部を身体・腰全体で支えることにあります。以前日本人の身長は低めの事が多く、しかし、胎児の体重は今とあまり変わりませんでした。そのため腹部の丈が短いために尖腹といって、とがったお腹になって、それを脊柱のみで支えようとすると脊柱・腹部先端間の距離があるため、ちょっとした姿勢の変化でも強く脊柱に回転の力(ヨーの力)が加わります。そのため、それを防ぐために腹帯をすることによって腹部全体でその力を受けて分散させている点にあります。巨乳の方のブラジャーと同じ原理でフィットさせて動きを軽やかにする目的です。そのため腹帯は今でも腰痛を防いだりする効果があるのでコルセットタイプ(妊婦用の)も効果が同じです。ただ、戌の日というのは戌と犬が同じ発音なので、犬に安産が多いのにかけて、げんかつぎでその日にしているだけですが・・・。でもその日に巻く場合は当院では朱の墨で「寿」と書いて着帯をして差し上げてます。
ちなみに当院で診察している欧米人の妊婦様に腹帯の事を教えて差し上げると「スゴく楽でいい」とおっしゃる方が多いです。実は欧米人の方がこの事を知らなかっただけで、微乳でもブラジャーすると楽なのと同じ原理なのです。
「欧米人がしてないからしなくてよい」なんていうと、まるで昭和の日本人の「欧米カブレ」みたいで、一寸恥ずかしいですよね。

2019.10.04

2014年8月 月経のずらし

夏休みの期間で月経をずらしたいとおいでになる患者様多数の今日この頃です。基本的には予定の月経を中用量ピルで月経が来ないままにして行事の後に発来させる方法をとります。よく早めに月経を起こすという方法を希望される方がいらっしゃいますが、他院でその方法で月経を起こしたにもかかわらず、一寸だけ出血しただけで、結局、行事の日程に予定通りの月経が来てしまって困って当院へ駆け込まれる方もいらっしゃいます(「早めに起こしてあげる」といわれた先生のところには、うまく行かなかったのでその患者様は行かれないので、その先生はそれがうまく行かなかったことを永久に知らないままなので、毎度その処方方法を繰り返されていますが・・・)。よって基本は後ろにずらすのが一番です。
薬は基本的に中用量ピルです。稀に低用量ピルの連続服用という方法も使います。両者ともにエストロジェン・プロゲステロン合剤なので血栓症のリスクがある点と妊娠しているかもしれない方は服用ができません。また、年齢が若すぎる(小学生とか)と身長に影響がでますので当院では治療目的以外の今回のような場合は処方していません。さらに、吐き気と浮腫みが來る事があるので当院でのお勧めは既に予定がわかっていたら行事に重なる月経をずらすのではなく、その前の月の月経を既にずらしておいて薬を飲まずに行事に望めるように計画する説明をしています。特に自分自身の結婚式などは若干の浮腫みも自分で納得いかなくなりますから(高額のエステしたのに「浮腫み顔」なんてことになります)。ずらしたい方は予定が判れば早めの受診がよいと思います。
とかいってるわりに、この文章は8月下旬頃に読んでいただくわけで、私ももう少しこの話題を早く書けばよかったです。ということで冬にずらすときの参考にして下さい。

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