習慣性流産(不育症)
せっかく妊娠されても妊娠初期に繰り返し流産するものをいいます。3回連続流産するとこの病名のものになりますが、当院では2回の流産でこの疾患の説明をしています。もちろん希望であれば一度も妊娠されていない方にも説明をしています。
学問的に話すとあまりにも難しくなるため、簡単に述べてみます。
習慣性流産には2つの要因がかかわっています。まず一つは抗リン脂質抗体を代表とする自己抗体の存在です。自己抗体とは自分自身をやっつけてしまう抗体のことです。膠原病とか自己免疫疾患とかいうものです。この自己抗体が作られていると胎児は2分の1が自分自身ですので母体の自己抗体は胎児をターゲットとしてマークします。標的になるといった方がわかりやすいかもしれません。この自己抗体に標的にされた胎児はその抗体が毒のように働くのでしょうか?そうではありません。あくまでマーキングされるだけです。マークされた胎児の将来胎盤になる絨毛組織が母体の子宮壁に根を生やした形を取ります。その根っこの部分に母体からの酸素や栄養分を送り込む栄養血管がその絨毛を取り囲みます。先ほどの自己抗体にマーキングされているとその栄養血管に微小血栓を作って栄養血管を詰まらせ絨毛に酸素が行かないようにします。そのため、根腐れしてしまった草花のように根っこから抜け落ちる、つまり絨毛が子宮壁から剥がれてしまって流産してしまうのです。ですので、血液検査で自己抗体の有無をチェックし、凝固能(血を固める力)が亢進していないかを調べます。異常を認めた場合は、小児用バファリンやバイアスピリンで血液が固まりやすくなるのを防ぎます。 当院も神奈川県の不育症管理チームに所属しています。
流産の話の続きで、、、流産した際の子宮内容物をもちいたPOCという検査があります。死胎絨毛組織染色体検査のことです。染色体異常に伴う流産の場合を診断できる方法で当院では実施可能です。不幸にも流産をした際には説明しています。